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外国人の方へ

岐阜アグリフーズ株式会社

我が子のように思い接する日常から生まれた、外国人社員との新たな絆

JAグループの一員として、「安全・安心・良質な農畜産物を通して、健康でより良い社会づくりに貢献する」を社是に掲げ、基幹事業である食鳥・食肉事業のほかにも、畜産・養蜂の現場から生まれる自然由来の素材を用いた化粧品事業などにも取り組まれている岐阜アグリフーズ株式会社。国籍を問わず幅広い人材を受け入れており、現在では、中国、ベトナム、インドネシア、フィリピンなど、様々な国の社員が50名以上在籍しています。
言語も文化も異なる多様な人材が活躍している企業風土づくりの秘訣について、取締役 参与 後藤 康晴様にお話を伺いました。

外国人活用の広がり

当社が外国人を初めて採用したのは1995 年のことですが、その時はまだアルバイトとしてでした。その後2000 年に、中国の技能実習送出機関の方と知り合う機会があり、そこから本格的に技能実習の受け入れを検討し始めました。
そして、その翌年には、山県市商工会を監理団体として、中国人技能実習生の受入れを開始しました。
受け入れ後は、彼らに、少しでも長く満足して働いてもらえるよう、職場環境や社内のサポート体制の整備に力を入れてきました。
その取り組みが功を奏し、その後もベトナムの技能実習や、インドネシアの特定技能など、外国人材活用の幅が徐々に広がっていき、現在では、外国人技能実習機構から優良な実習実施者の認定も受けることができました。
実習実施者と監理団体のいずれもが優良認定を受けると、技能実習期間が3 年から5年に延長されたり、受入枠が拡大されます。そのため当社では、通常の2 倍に当たる毎年20 名の受入れが可能となり、2022 年までの累計で、中国が162 名、ベトナムが36 名まで増えました。
その結果、当社は、山県市商工会の中でも最多の技能実習生を抱える企業となり、2019 年からは、私が商工会の技能実習委員会委員長を務めることとなりました。

取締役 参与 後藤 康晴 さん

人事管理の工夫

一方、外国人社員が増えるにつれて、社員としての自覚が薄い者、モチベーションが低い者が出るなど、人事管理に苦労することも多くなってきました。そこで当社では、彼らが互いに自覚を促し、成長しあえるような環境を整えることにしました。
まず手始めに「指導的職位設置要領」を制定し、職位選定基準を明確にしたうえで、外国人社員の中からリーダーとサブリーダーを選ぶことにしました。選定に当たっては、日本語検定や現場の指導スキルなどに応じた評価を加点とし、点数の高い者を選ぶこととしています。さらに、選ばれた者には、職責に応じた手当も支給します。この方法は、社員としての自覚だけでなく、モチベーションも向上し、さらなる成長を促す効果があると考えています。

日本語の学びをサポート

外国人社員が、日本語で出題される技能実習検定の受検や、仕事・生活上のコミュニケーションを円滑に行うためには、日本語の習得が必須となります。そこで当社では、日本語教室を毎週2時間程度開催して社員をサポートしています。講師は市内在住の中国人にお願いし、テキストは会社側で用意しています。
技能実習1年目の参加は必須、その他は任意にしていますが、意欲がある者はいつも積極的に参加しています。また、講師がいないときは先輩実習生が後輩を教えることとし、互いの成長を促しています。さらに、日本語検定試験の合格者には祝い金を贈呈し、モチベーションの向上にも努めています。

日本の良い文化や思い出を持って帰国してもらいたい

技能実習生には、技術の習得だけでなく、日本の良い文化や慣習、生活様式を学んで帰国してほしいと思っています。例えば、彼らには、当社が実施している地域のゴミ拾い活動に、いつも参加してもらっています。懸命にゴミを拾う彼らの姿を見て、地域の方々も、「お疲れさま」、「ありがとう」と暖かく声を掛けてくださり、地域との交流にも繋がっています。
このように、日本には、日頃からみんなで落ちているゴミを拾い、街をきれいにする奉仕の心や美化意識が広く根付いていますが、それを彼らに体感してもらうことで、ぜひ日本の良いところを学んでもらいたいと考えています。そして彼らに対しても、「こうしたちょっとした意識付けや行動が、きっと母国の文化や国の発展に繋がるはずだ」と言葉で伝えています。
また、彼らには、“会社にいた思い出”だけではなく、“日本にいた思い出”を多く作ってほしいと思っています。コロナ禍前は、1月には餅つき大会、夏には浴衣と下駄をプレゼントして長良川の花火大会に行くなどのイベントを実施してきました。今後も彼らの日本での思い出づくりに励みたいと思っています。

地域奉仕日の清掃

地元高校生との異文化交流

数年前、地元の高校から山県市商工会に、国際教育の一環として外国人との交流ができないかとのご相談がありました。当社社長は、このような機会は、高校生にとってよい体験になるだけでなく、技能実習生たちにとっても日本文化を学ぶよい機会になると考え快諾し、当社が交流事業を受け入れることとなりました。
交流事業の当日、女子高生たちは浴衣を、ベトナムの技能実習生たちはアオザイ(ベトナムの女性が着る民族衣装)を着て登場し、それぞれの伝統を披露しあいました。次に、技能実習生たちの母国である中国やベトナムについて、自分たちで調べたことを高校生たちが発表し、それに対して、技能実習生たちが国の特徴や特産などについてコメントし、互いの理解を深めあいました。これは、若者の未来につながる非常に価値のある良い経験になったと思っています。

岐阜城北高校「地域の担い手育成総合戦略事業」

我が子のように大切に接する

当社では、海外に出向いて技能実習の希望者と直接面接することがあります。その訪中の際に、現在すでに当社で勤務中の技能実習生のご実家を訪問する機会を得ました。母親は私を見るなり泣き出し、「寂しい、なぜ子供もつれて来てくれなかったのか」と詰めよってきました。スマートフォンなどでは連絡を取り合っておられるようですが、目の前で会いたいという想いが一気に噴き出したのでしょう。私は、子を思う親の気持ちはどこの国も同じで、私たちはこの母親の思いを受け止め、預かったご子息たちを大切にしなければならない、そしてできることは精一杯取り組もうと、改めて誓いました。
中国での出来事で身につまされた私たちは、それから、技能実習生の寝具、家電、食器などを手配する際には、自分の子なら何を用意してあげたら喜ぶだろうか、という視点で考えるようになりました。また、彼らが困っているときは、たとえプライベートなことでも、親のような気持ちですぐに対応するように心掛けています。このように、相手の思いをできるだけ汲み取り、そして私たちの思いもできるだけ伝えるように努力してきた結果、時間とともに心と心の繋がりが育まれ、実習生の会社に対する信頼感も向上してきました。
現在では、帰国した実習生から、SNSで結婚や子どもが生まれたなどの報告が来るようになりました。中には、もう一度当社で働きたいという連絡もあり、大変嬉しく思っています。彼らが日本での暮らしに満足感を持ってもらえるよう私たちが努力すれば、たとえ契約という関係が切れて帰国した後でも、揺るぎない絆が続いていくものと信じています。

技能実習期間満了 終了証授与 ベトナム7回生

これから外国人材を活用する企業へのアドバイス

外国人社員に何かを伝えたり、こうしてほしいと指示しようとしても、うまくいかないことも多いと思います。
育った環境が日本人とは異なる外国人は、考え方や常識、習慣が違うのが当然のことです。その彼らに、日本の文化や道徳をいきなり押し付けても絶対に上手くはいきません。そのときは、私たちも相手の立場になって、相手の国の文化や習慣を少しでも知ることが大切です。そうすれば、なぜ相手に伝わらないのか、どうしたら分かりやすく伝えることができるのか、きっと理解できるようになると思います。
それから、彼らに何かを伝えるときは、決して見返りを期待せず、粘り強く何度でも伝えていく姿勢も大切です。また、優しいだけではなく、ときには厳しい態度も必要になります。我が子のように思い、家族の一員としてとらえ、心をしっかりと通わせあわせることができれば、彼らはきっと最高のパートナーになると私は確信しています。

会社概要

会社名

岐阜アグリフーズ株式会社

企業URL

https://gaf.co.jp/

所在地

岐阜県山県市高富227番地4

事業内容

製造業

従業員数

200名

外国人材雇用人数

中国 15 名、ベトナム 28 名、インドネシア 4 名、フィリピン 1名

※取材時点の情報となります。