外国人の方へ
株式会社 本陣平野屋
“おもてなしの心”は、日本人も外国人も同じです。
旅館の良さと本陣平野屋で働くイメージを若者に伝えたい
今から8年前の2015年頃は、旅館は「年配の女性が働く場所」というイメージを持つ方が多かったためでしょうか、若者の採用活動が上手くいかず、私どもの旅館には新入社員がほとんどいませんでした。どのような採用活動を行ったら、そのイメージをふっしょくできるかと考え、まずは自社の採用ホームページを見直すことにしました。そして、旅館の雰囲気、働いている社員の様子を紹介する写真や動画などを新たに組み入れ、働く場所や、働いている人の生の姿を視覚的に伝えることができるように工夫しました。これにより、徐々に「本陣平野屋は若者も多く働いている旅館」、「年齢の近い先輩から仕事を教えてもらえる旅館」と認知されるようになりました。さらに、動画や写真を用いたことで、若者だけでなく、外国人の方にも働くイメージが伝わりやすくなり、採用につながるようになりました。
若女将 有巣 紗織 さん
アフターコロナのインバウンド復活を見据え外国人の雇用を継続
新型コロナ感染症が拡大する前は、飛騨高山はインバウンドのお客様で溢れていました。そこで、2019年4月頃より、外国語を話せる社員を増やす目的で、外国人の雇用にも力を入れ始めました。日本中の数ある旅館の中から飛騨高山、そして本陣平野屋を見つけてくださったという「ご縁」を大切にしたいので、採用人数に制限は設けていません。
現在も、アフターコロナのインバウンド復活を見据え、外国人の採用を続けています。
日本には、言葉以外の表情やしぐさなどを察して行動する文化が昔から根付いていますが、そうした文化を外国の方が理解するには、きっと苦労が伴うと思います。
また、日本では遠回しであいまいな表現を用いることがありますが、外国の方には、はっきり言わないと伝わらないということも少なくありません。私は、日本人と外国人の考え方や文化の違いをお互いが理解して学び、双方で受け入れることが大切であると考えています。そこで、外国人社員が何か失敗したときは、一つずつ行動を確認しながら、よく話し合い、失敗を繰り返さない方法に自ら気付けるように指導しています。
アダムさん
組織全体で全ての新入社員を育てる風土づくり
私どもの旅館ではシスター制度と呼んでいますが、新入社員一人一人に担当の指導社員を付けて、先輩が現場で後輩を育てる制度を取り入れています。これは、日本人も外国人の社員もみな同じ対応です。私は、社員は組織全体で育てることが大事だと考えています。社員には、「他部署の新人だから私は知らない」という考えではなく、教え合い、部署の垣根を越えて育成して貰っています。今は、みんなで社員を育てていくという風土が出来ていると感じています。
シスター制度
ファミリー寮や外国人専用シェアハウスも増設
外国人社員の中には、先に自分が日本で働いて、後から家族や婚約者などを呼び寄せる方がいます。そこで、以前は、単身者向けの社員寮しかありませんでしたが、新たにファミリー寮を作り、さらには、外国人専用のシェアハウスも作りました。シェアハウスといっても、キッチンやお風呂、トイレなどは共有になりますが、部屋は個々に用意されているので、外国人社員からの評判がいいです。宗教の違いからくる食べ物の制限については、自炊することにより解消出来ているようです。この様に、外国人の住まいや食事環境にもいろいろと気を配っています。
シェアハウス
外国人の雇用を考えている企業へのアドバイス
外国人社員を受け入れるためには、職場の全員が彼らを歓迎し、受け入れられるように情報共有することが大切だと思います。外国人社員に、「名前を覚えてもらえた」「みんなから歓迎されている」と、自分が職場に受け入れられていることを実感してもらうことができれば、その後も安心して周りに相談しやすい雰囲気が生まれます。
また、日本人、外国人と区別することなく、良い事は良い事として褒め、悪い事は悪い事として注意することで、お互いの信頼関係を築いていくことも大事です。
私どもの旅館では、お客様に対しても、社員に対しても、“おもてなしの心”を大切にしています。これこそが雇用の安定につながると確信しています。
会社概要
会社名 | 株式会社本陣平野屋 |
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企業URL | |
所在地 | 岐阜県高山市本町1-34 |
事業内容 | 宿泊業 |
従業員数 | 147名 |
外国人材雇用人数 | 中国2名、ハンガリー1名、ネパール4名、インドネシア1名 |
※取材時点の情報となります。 |
国際観光都市、飛騨高山の中心にある本陣平野屋は、国内外から訪れる多くの観光客に「日本のおもてなしの心」を伝え続けている旅館です。2019年から外国人の正規雇用に取り組まれています。その内容について、若女将の有巣 紗織 様にお話を伺いました。